全国的に有名になった讃岐うどん。

しかし、そもそも讃岐うどんとその他のうどんにはどの様な違いがあるのでしょうか?

食べる前に、違いや歴史を知ることでさらに味わい深い物になるのでは?と思いこの記事を書きました。

この情報が少しでも皆さんのUDON LIFEを豊かにできればと思います♪

讃岐うどんの定義は?

実は讃岐うどんにはハッキリとした定義があります。

が、この定義は店舗で食べるうどんに対してではなく、お店で販売されているうどんに対してのモノです。

お土産屋さんや皆さんのご自宅近くのスーパーマーケットなどでも讃岐うどんは販売されています。

これからお伝えする定義を意識することで少しでも質が高い讃岐うどんを選ぶポイントにして頂きたいですね。

 

さてその定義ですが、全国生麺類公正取引協議会により以下の通りしっかりと明記されています。

No. 条件 表示内容
本場/名産/名物/特産を表示した

讃岐うどん

讃岐うどん
香川県内で製造されているもの
製法が「手打ち」「手打ち式(風)」であること
加水率:小麦粉重量に対して40%以上
食塩:小麦粉重量に対して3%以上
熟成時間:2時間以上
茹で時間:約15分で十分α化(糊化)していること

 

この定義を見て、皆さんはどう思いますか?

結構しっかりと定義されている!と思うか、結構大雑把だなと感じるか。

実際に讃岐うどんを作っている1人の麺匠としては、結構大雑把だなと感じています(笑)

 

なぜ大雑把と感じるのか?

その1番の原因は「手打ち式(風)」と言うところにあります。

○○風って「○○っぽい」ってことですよね?

 

風の何がダメなの?って感じる人もいると思います。

別に悪い、ダメと言う訳ではありませんが、毎日その多くを手作業で製麺している身からすると「なんだかなぁ」という気持ちになるだけです

言ってしまえば、それだけです😅

 

まぁこの手打ち風ってのがあるので、オートメーション化が実現できる訳ですし、オートメーション化できるから全国どこででも茹で上がった讃岐うどんが販売できます。

この大雑把さも讃岐うどんの認知拡大には大きく貢献してくれている!ということですね♪

 

ただ、茹で上がった麺というのは時間を追うごとに品質は落ちていきます。

そうなると「本場」「特産」など冠を表した香川県で作られた讃岐うどんと言うのは、香川県以外ではほとんど食べることができないということになりますね。

やはり極上の美味しい讃岐うどんを食べたいのであれば、お取り寄せなどで購入しご自宅で湯で上げるか本場のうどん県(香川県)の店舗で食べるしか方法がない訳ですね💧

 

讃岐うどんの特徴とは?

皆さんは讃岐うどんの特徴は?と聞かれるとどういった内容を思いつきますか?

おそらく以下のようなものではないでしょうか。

 

【すぐに思いつく讃岐うどんの特徴】

  • 喉ごしのよいコシの強い麺
  • モチッとした噛みごたえ
  • 味わい深いイリコ抽出の出汁
  • 足踏みで鍛える麺

パッと思いつく讃岐うどんの特徴と言えばこの辺りでしょうか?

しかし、悲しいかな近年3つ目の「イリコ出汁」については、香川県のうどん屋さんでも純粋にイリコだけで出汁をとる店舗が極端に少なくなってきています。

 

日本で一番小さな県にも関わらず約600店舗以上のうどん屋がひしめく香川県。

他店と少しでも違いを出すために進化した味を追求しすぎた結果、出汁に節類(鰹節・鯖節等)を入れる店舗が増えてしまっています。。。

 

そもそも、讃岐うどんの出汁はなぜ鰹節や鯖節、あご出汁ではなくイリコ出汁なのでしょうか?

 

香川県観音寺市(かんおんじ)には、伊吹島という全国でも有数のイリコ漁の盛んな島があります。

伊吹島でイリコ漁が盛んに行われていたから、香川県では昔からイリコで出汁をとるという文化があったのです。

>>伊吹島の詳細はこちら①<<

>>伊吹島の詳細はこちら②<<

 

もしも、もしもの話。

昔々のその昔、高知県以上にカツオ漁が盛んだったら、長崎県以上にサバやトビウオ漁が盛んだったら、香川県はかつお出汁、サバ節・あご出汁文化になっていたのでしょう。

 

しかし!!

香川県には伊吹島があるんです。

いりこ漁が盛んに行われているんです。

だから、讃岐うどんの出汁も昔からイリコで作られているのです!

 

このような背景からも、せっかく香川県まで来てうどんを食べるのであれば、ちゃんといりこ出汁の伝統的な讃岐うどんを食べてもらいたい!と個人的には思うのです。

 

讃岐うどんはコシが決めて!?

最後に最も特徴的であると言えよう「コシ」についてお話しましょう♪

皆さんご存知ですか?実はとっても多いんです。

讃岐うどんの特徴である「コシ」を間違って認識されている方が。。。

 

当店に来られるお客様の中にもいらっしゃいますが、うどん県人にも実は多く存在します。

 

讃岐うどんのコシと言うのは「うどんのコシ=弾力」なのです!!

多くの方は「うどんのコシ=麺の硬さ」と捉えている人が多いのですが、讃岐うどんに関しては「コシ=弾力、コシ≠硬さ」なのです。

 

讃岐うどんの定義にも記載しましたが、讃岐うどんは約15分もかけて麺を茹でます

パスタやラーメン、蕎麦などと比較してもかなり時間をかけてしっかりと茹であげるのが讃岐うどん。

 

15分も茹でればどんな麺も普通は「硬さ」と言うのはなくなります。

その代わり讃岐うどんの場合はしっかり茹であげることで、「十分にアルファ化(糊化)している」という状態になります。

 

讃岐うどんの定義にもしっかり記載されているこの2点を踏まえると、やはり讃岐うどんのコシというのは麺の硬さではなく「麺の弾力」ということになるのです。

15分茹でて硬さが残っている麺は、単に茹で加減が甘い(茹で時間が短すぎる)か、製麺時の生地が硬すぎて15分で茹で上がらないかのどちらかでしょう。

 

最近、朝日新聞さんの記事で「トレンド変化!?シコシコからモチモチ・ムニュムニュの柔らかめの食感が人気」というのを目にしましたが、私からすれば?????の状態。

先程もお伝えしましたが、そもそも讃岐うどんと言うのは約15分もしっかりと茹であげ、糊化した麺なのでやわらかいのが普通なのです。

そして、糊化している麺というのは得てしてモチモチしているもの

 

ちなみに、讃岐うどんが元々やわらかい麺というのは香川県内の高齢者の方々に話を聞けばよくわかります。

讃岐うどんの食べ方を高齢者の方々は「飲み込む・飲む」と良く表現します。

 

その昔、「カレーは飲み物」と言う名言もありましたが(笑)

 

讃岐うどんの特徴に記載しましたが、讃岐うどんは「喉ごし」を味わうコシが魅力な食べ物。

元来讃岐うどんは飲み込むようにして食べられていたことを踏まえても、硬い麺であるはずがないのです。

 

しかし残念ながら、最近のうどん県の若者たち(うちのがきんちょ達もそうですが)ですら、うどんを啜った後にモグモグと咀嚼して食べます。

ではなぜ、讃岐うどんのコシ=麺の硬さと間違った認識が広まっているのでしょうか?

 

讃岐うどんのコシ=「弾力」が広まらなかった理由は?

ここからお伝えする情報には個人的な推測が入りますので、すべてを鵜呑みにはしないで下さい。

 

「讃岐うどんのコシ=麺の硬さ」という認識が広まったのは、うどんブームの頃までさかのぼります。

年代で言うと1990年代初頭から2000年代後半(2010年代半ばころまで?)といったところでしょうか?

 

当時は映画「UDON」が公開されたり、高速道路の通行料が休日1,000円という経済対策も行われていたりと、県外から所狭しとお客様が押し寄せてくる時代でした。

それだけではなく、各界の著名人がふらっと来店されたりもしたものです。

 

そもそも、讃岐うどんがブームになった要因の1つは、当店のような昔ながらの製麺所タイプの店があります。

当時の製麺所タイプのお店は、看板を掲げていなかったり、家か店舗かわからないような住居兼店舗だったり、え!?こんなところに!?と言う場所にお店が存在していたりということが多くありました。

当時の讃岐うどんブームの楽しみ方は、そういう店舗を探し彷徨う一種の「探検」であり、到着した際の「異空間体験」を楽しむ節が強くありました。

 

しかし!!

香川県の製麺所のそのほとんどは、家族経営の個人事業主たちばかりです。

1日に50人~100人来れば上々というキャパシティの店舗に、1日500人・1000人・1500人と言うお客様が早朝から閉店間際までなだれ込んで来るのです。

 

そんな状態になると、どうなると思いますか?

いつも通りのペースで営業していたのでは、列の最後尾の人はうどんにありつくのが10日後!なんてことになります(笑)

なので我々店舗側の人間は、とにかく並んでいる人を少しでもたくさん捌くことに必死になるのです。

 

そうすると、茹でが甘い(湯で時間が短い)状態でも提供してしまったり、熟成時間が短く生地がまだ固い状態でも製麺しないといけなかったり。と言う状態になるのです。

 

これは私の実際の体験談なのですが、1995年~1999年の4年間、私は大学生で善通寺市にある大学に通っていました。

県外から大学に来た同級生たちを束ねて、何度となくうどん巡りをたくさん行ったものです。

 

釜玉で有名な山越さんや、満濃町の山内さん、谷川米穀店さん、当時は満濃町だった宮武さん、今は無くなってしまいましたが飯山の木村さんや、なかむらさん、大学のある善通寺では宮川製麺所さんや善通寺山下うどん、長田さんや、ここも無くなってしまいましたが徹夜明けではすい亭とか何度も行きました。

高松方面でも今は大島うどんになりましたが馬渕製麺所さんやちくせいさん、あたりやさんなど、数を上げれば数え切れない程のお店を回りました。

 

1日で13軒食べ歩いた。ということもありました(笑)

 

話が少し逸れてしまいましたが、その頃に実際体験してしまったのです。

平日に行った時は普通の讃岐うどんだったのですが週末に伺った時には、先程記載した通りとにかくお客様を捌く!と言う状態で、山越さんも山下さんも宮武さんも、ことごとく「硬いうどん」が提供されてしまっていたのです。

 

大学生だった私は平日のうどんも、週末のうどんも両方を食べることができたのですが、県外旅行者の方のほとんどは週末のうどんしか食べれません。

そうなるとどうでしょう?県外からの旅行者の方は「讃岐うどんのコシ=麺の硬さ」と認識しても仕方ありませんよね。

 

これは別に誰が悪いとかそういう話ではなく、当時のうどん屋さんも経験したことが無い数の客数を相手にしていた訳だし、お客様も当時のトレンドを純粋に体験したり、経済政策の後押しもあり香川県に旅行に来やすい環境だったりと、いろいろな状況が重なって言わば「異常なブーム」になってしまっていたのだと今考えるとそう思います。

 

「讃岐うどんのコシ=麺の硬さの誤認識」に関してのこの話は、私個人の推測も強く反映されていますが、あながち見当違いな話でも無いと私は思っています。

 

私は実際に物心ついた頃から讃岐うどんが超身近に存在していましたし、初めて発した言葉は「ぴっぴ(讃岐弁で小さな子供に使う"うどん"の意味)」だったと言われた記憶があるような、無いような。。。(笑)

まぁ、これは冗談として。

人生の中の大半をうどんと共に成長してきた人生を今改めて振り返りながら讃岐うどんのコシのことを考えると、やっぱりそれ程間違った話ではないだろう。と感じています。

 

あの当時から比べると、今はそれ程お客様が大挙して押し寄せて来て手に負えない!という事もありませんし、我々お店側も対応方法を学んだり、自分たちで試行錯誤して対策をしてみたりと讃岐うどんを食べる環境も良くなっています。

 

もし、この記事を読んでくれている方の中に、もう何年もうどん県でうどんを食べてないなぁ。という方がいらっしゃいましたら、ぜひまたうどん県にご来訪下さい。

そして、一時期の異常なブームの時に食べたうどんと、今の讃岐うどんを食べ比べしてみてはいかがでしょうか?

 

おわりに

さて、いかがでしたでしょうか?

讃岐うどんの定義から特徴、はたまたちょっとした歴史に至るまで。

 

この記事はある意味読み応えがあったのではないでしょうか?

 

私自身もまだまだ未熟ですし、讃岐うどんのことをすべて把握している訳ではありませんので間違った内容もあるかも知れません。

その時は、やさしめに教えてください(笑)

 

そうやってみんなで讃岐うどんの歴史を整理して、讃岐うどんの未来を考えて、香川県で讃岐うどんを食べてもらえたら、それ以上に嬉しいことはありません!

 

これから先、讃岐うどんのあり方も時代とともに変化していくでしょうが、山下うどんでは伝統と歴史を忘れること無く、県内でも数少なくなってしまった「昔ながらの製麺所」として、皆様に愛される讃岐うどんをご提供し続けていけるようにコツコツと精進して参ります。

 

最後は、恒例のこの言葉で〆させて頂きます(笑)

 

さぁ!おいでまい!うどん県へ♪